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Feeling!! The South Wind
あの日、ロマンスカーで。
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第3部:物語仕立てのSL道中

さて、ラーメンでおなかを満たして自転車で軽く運動してから(笑)移動を再開します。喜多方駅に迫力のドラフト音と汽笛を轟かせてやって来たのは、今や磐越西線の名物として君臨する、SLばんえつ物語号です。牽引機はC57型。175cmの動輪に細いボイラ…その整ったスタイルで「貴婦人」と称されるのは鉄道好きの間でよく知られた話です。
客車は、SLばんえつ物語専用の特別仕様で、大正ロマンを髣髴させるゴージャスな雰囲気が特徴…だそうです。
ボックスシートの背もたれも肉厚で掛け心地の良いものに変えられていて、優雅なSLの旅を楽しめるように演出されておりました。
中間には巨大な窓で眺めを楽しめる展望車が連結されています。
レールの向きにパイプ椅子が取り付けられて、ボックス席とは違った眺望を楽しむことが出来そうです。
しかしこの展望車両、ただ眺めを楽しむだけに存在するものではなかったり…
車内には売店が完備されておりました。
ビュッフェと違ってその場で飲み食いできそうなスペースはありませんでしたが、ワゴンの車内販売と違ってじっくり品定めが出来そうで好印象です。
なにより、こういう特徴ある列車ですから、老若男女問わず車内散策に興じる乗客も多いはず。そんな中でワゴンだと邪魔になっちゃいそうですし、歩いてる最中に売店に寄れる環境というのは有難味があるんじゃないかと考えます。
…ってことで、この売店を利用しない手がありません。
遅めの食後のデザートはスジャータのアイスクリーム!!
列車に乗ったら、やっぱりスジャータです。ハーゲンダッツ?なにそれ!!
車窓に目を向けると、沿線のギャラリーが意外と多いのに気付きます。
SLばんえつ物語号は、基本的に毎週末運転で、全国を巡業するSLと違ってほぼ当たり前の存在…にも関わらずわざわざ見に来る人がいるというのは、やはりSLの魅力が色褪せない証拠に他なりません。
人間のような息遣い、メカニカルな容姿、迫力の走行音…いつの世にも魅了し続けていってほしいと願うばかりです。
さて、喜多方駅を発車してしばらく経ってから…「展望車でマジックショーを行います」という車内放送が流れ、何事かと思って見に行ってみたら…展望車のステージで、テレビでよく見るマジシャンの格好をした人が、ロープ をステッキに変えたり、風船を飲み込んだり、ハンカチからハトを出したり…と、テンポよくマジックを披露しておりました。
こういったイベントは週変わりで企画があるとか。思わずSLに乗っているのを忘れてしまいそうな楽しいひと時でした。
やがて列車は野沢駅というところで10分の停車に入りました。乗客はここぞとばかりにホームに降りてSLとの記念撮影に熱中します。
間近で見るC57は、D51ほど大きくは見えないものの、大きな3つの動輪が目を引きます。旅客用の証である3つの動輪はスピード重視の設計となっていて、このC57も現役時代は全国の優等列車の先頭に立つなど「貴婦人」の名に恥じぬ華々しい経歴の持ち主でもあったり。
客車の中をウロウロしていたら、急に赤いポストが鎮座しているのを見てビビってしまいました(爆)
列車の中から手紙を送ることが出来るサービスの一つで、乗車証に添付されたポストカードと、売店で売られている切手を買えば乗車中に郵便経由で「SLなう」が出来ちゃうわけです。
SLに乗ってる気分の高まりをそのままに手紙を綴るのも風情を感じるところです。
SLは「狐の嫁入り」で有名な津川駅で2度目の長時間停車に入り、ここでは給水作業も行われます。車掌さんの事前アナウンスで給水作業のことを「SLが水を飲むため…」という、柔らかい表現を用いたのはささやかながらも感心しちゃいました。
なんと!!長時間停車中はSLのキャブ内が見学可能ということでお邪魔させていただきました。
入った途端に迫り来る熱気に圧倒されつつ、生きた計器類や美しい使用感を漂わせるハンドルやバルブ、そしてそれらの隙間や隅でひっそりと安全を支えている最新の信号保安装置…シロートは目移りせずにはいられません(爆)
…それらの扱い方を熟知し、類稀なる技量を持ってSLの定時運行に挑む機関士さんの奮闘振りには乗客でありながら頭の下がる思いです。
石炭や水を積む「デンダー」と呼ばれる車両に目をやると、機関助士の方々がシャベルで石炭を運転台に送り込んでおりました。
現代の電車と違い、SLは機関士一人だけで走らせることは不可能です。走行中の投炭やボイラの管理など、その責任は機関士と同等に重大です。沿線のギャラリーに愛想を振りまく傍ら、SLの具合を常に気に留める器用さに、プロの真髄を見て取れます。
今回、乗客に配られたグッズの数々…とにかく充実してます。
特徴的なのは、沿線の施設と連携したスタンプラリーや、乗車日によってデザインが異なる乗車証など、「何度も乗りたくなる」アイデアに満ち溢れたものでした。
先ほどのマジックショーも、日によってはハーモニカの演奏会だったり、紙芝居だったり…乗る日によって異なる楽しみ方が待っています。
色んな楽しみ方がまるで「物語」のように進んでいくばんえつ物語号…C57の復活から11年経っても人気を保ち続ける秘訣のうちなのでしょう。
喜多方を出て3時間弱、列車はSLの拠点である新津に到着しました。
ここではSLの運行に携わった乗務員の一部が降車していったのですが…みんなSLに向かって笑顔で手を振り続けていたのが印象的でした。
乗客に対する気配りでありながら、乗務を完遂させた達成感、そしてSLを楽しく乗務できたという満足感が滲み出ているかのようでした。
遂に終点の新潟駅に到着です。
到着間際、車掌さんが客室の先頭に立って「またの御乗車をお待ちしております!!」と大声で挨拶する光景にジーンと来てしまいました。思わず客室中から拍手が出てくるくらいの感動だったのですが…それが終わると各座席に近付いて乗客一人一人にもう一度挨拶。
「丁寧にありがとうございました」とお礼を述べると「また乗りに来てください」と笑顔で頭を下げられ、また感動…
JR東日本で、こんな凄まじい演出をやってのける車掌さんがいたことにただただ驚いきながら、SLばんえつ物語号の「物語」はハッピーエンドを迎えました。

第4部:明日へ誘う列車 に進む

Spirit of
 reconstruction
第1部:はやぶさ、甦生
第2部:会津路闊歩
第3部:物語仕立ての道中
第4部:明日へ誘う列車
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